家庭医学館 「回帰性リウマチ」の解説
かいきせいりうまち【回帰性リウマチ Palindromic Rheumatism】
急性の関節炎(かんせつえん)の発作をくり返す病気で、おもに、どこか1つの関節が赤く腫(は)れあがります。その関節の近くに炎症(疼痛(とうつう)、発赤(ほっせき))を生じることもあります。
関節炎は3、4日以内に自然に消えてしまい、発作時以外はまったく症状がありません。
比較的まれな病気ですが、日本では20~50歳代の男女に同じ程度にみられるといわれています。関節炎は、膝(ひざ)、足、手、肘(ひじ)などに多く現われ、夕方から夜半にかけて疼痛が強くなることがよくあります。関節リウマチ(「関節リウマチ」)に移行することがあります。
原因は、まだわかっていません。
[検査と診断]
関節リウマチの患者さんによくみられる、自分の血液成分を攻撃する抗体(こうたい)(リウマトイド因子)は発見されません。また、長期間発作があっても、関節のX線像には異常がみられないのがふつうです。
発作時にだけ、白血球(はっけっきゅう)の増加、血液沈降速度(けつえきちんこうそくど)(血沈(けっちん))の亢進(こうしん)、CRP(C反応性たんぱく)の軽度の上昇がみられることがあります。
発作時にだけ関節が赤く腫れて痛み、発作がないときに症状がまったくなければ、この病気が疑われます。
症状や経過などで診断されますが、痛風(つうふう)、偽痛風(ぎつうふう)、間欠性関節水腫(かんけつせいかんせつすいしゅ)、関節リウマチなどとの識別が必要です。
[治療]
発作を抑えることはできませんが、非ステロイド抗炎症薬、抗リウマチ薬が使われます。
[日常生活の注意]
発作時は安静を保ち、ストレスや過労を避けます。発作がないときは、とくに制限はしません。生命や機能にかかわるようなことはありません。
気温や運動などの物理的な刺激を受けたり、過労の後に、発作の生じる関節に軽いうずきを感じる場合がありますので、そのようなときに、坐薬(ざやく)や非ステロイド抗炎症薬を使うと、発作を予防することができます。
患者さんの約10%は自然によくなりますが、約30%の患者さんは関節リウマチになる可能性がありますので、定期的に通院・治療をすることがたいせつです。